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by kabashima_h

亡国!税金のムダ遣い(11)

●9億円使っても領収書なし、報告書はA4たった1枚●

 火山活動のため避難生活を送っていた三宅島の島民が来年2月から帰島できることになった。その三宅島のすぐ南にある御蔵島村の年間予算規模は約10億円だが、それとほぼ同額の東京都の公金が使途も明らかにされないまま決済されている。

 この公金とは、都議に支給される政務調査費で、02年度の総額は9億660万円だった。政務調査費とは、地方議員が政策などに関する調査・研究をするための費用で、47都道府県のすべて、市・区のほぼ9割、町村の2割弱で議員個人や会派に支給している。もちろん、議員報酬とは別にだ。

 ところが、議員1人当たり年間720万円という全国最高額を支給している都議会では、9つの会派(うち1人会派は4つ)ごとにA4版1枚の収支報告書を提出するだけで「決算終了」となる。たとえば、自民党の02年度分の収支報告書からは、議員55人分として3億9600万円の収入があり、このうち資料購入費に1137万8393円を使ったことまでは分かるが、どんな本を買ったのかは一切不明だ。かりに1冊1500円とすると、7585冊となり、議員1人当たりでは137冊にもなるから驚きだ。

 都道府県議員1人当たりの年間支給額(会派・個人の合計)は、東京都の720万円から鳥取、徳島、沖縄県の300万円まで幅があるが、条例などの定める使途は調査費、研修費、会議費、資料購入費、広報費、事務費、人件費などと、いずれも大まか。しかも、領収書の添付を義務づけているのは岩手、宮城、長野など、ごく一部だ。

 そのため、ある秋田県議は、「色々な論調を知るには地上波のニュースだけでなく、CNNなどの海外ニュースや衛星放送番組を見る必要がある」と屁理屈をこね、33万円のBSチューナー付きの大型テレビを購入した。長野県では、家族を事務員にして人件費を支払ったほか、宴席の支払いに流用した疑惑が持たれている。実際、今年1月には、東京都品川区の自民党区議団がカラオケ・バーなどでの支払いを認めて約31万円を区に返還した。行政の監視役とは思えないムチャクチャな使途が、報道機関や市民オンブズマン、監査によって次々と発覚しているのである。

 政務調査費は長いこと、首長からの補助金だった。議会を手なずける小遣いのようなものだ。「第2報酬」と批判され、01年度から条例化されたが、議員のほうはいまだに小遣い感覚なのだろう。

<2004年7~8月に日刊ゲンダイに連載した「亡国!税金のムダ遣い」より>
by kabashima_h | 2004-10-04 01:36 | 民主主義のコスト