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by kabashima_h

亡国!税金のムダ遣い(10)

●児童相談、生活保護家庭の訪問でも特殊勤務手当●

 外回りの営業マンなら、アポなしの「飛び込みセールス」は日常茶飯だ。銀行員だって、融資金の回収のために企業をせっせと回っている。都道府県や市町村も、滞納されている住民税をさぞ必死になって取り立てているにちがいない。なにせ、小泉首相の「三位一体改革」で国から来る金が減り、「このままでは自治体倒産だ」という悲鳴があちこちから聞こえてくるのだから……。

 たしかに、自治体職員が滞納先を訪問したり、役所の窓口で納税者の相手をすることは少なくないのだが、お役人なら当たり前のこうした業務にも特別なお手当が支給される。「税事務従事手当」という特殊勤務手当の一種で、宮城県では総務部や県税事務所の職員が1カ月の勤務のうち3分の2以上、滞納整理を含めた「県税の賦課徴収に関する業務」をすると、若い主事で月額1万4000円、課長補佐クラスで2万3000円もらえる。

 特殊勤務手当というのは、著しく危険、不快、不健康、困難、特殊な勤務に支給される手当のことで、別名「不快手当」とも言う。たしかに、訪問した税金滞納先では嫌味ぐらいは言われるだろうが、それも仕事のうちというのがビジネスの常識だ。改革派のリーダー的存在である浅野史郎氏が知事を務める宮城県でさえ、44種類もの業務を条例で定めており、「本当は住民と接するのが嫌なのでは」と勘ぐりたくなるような内容のものがが多い。

 たとえば社会福祉業務手当は、保健福祉事務所の職員が要生活保護者らの家庭を訪問すると月額1万2000円、子どもセンターの職員が児童相談を受けると9000円だ。宮城県は警察官に対してもずいぶん手厚い。刑事手当、少年警察補導手当、鑑識手当、交通取締手当、警ら手当、看守手当など、どこの部署にいても月額6500~1万300円の手当がもらえるのだ。なかには、身辺警護等作業(皇族護衛)手当のように、普通は1日640円だが、天皇、皇后、皇太子、皇太子妃のときは510円増しになる変則的な「料金システム」もある。

 地方公務員が毎月受け取る手当は、他にも扶養、住居、管理職、単身赴任といった民間でも馴染みのものから、調整、初任給調整、へき地、特地勤務、管理職員特別勤務など、おそらく受け取っている本人さえ説明できないものまでたくさんある。こうして年収は膨れ上がり、「官高民低」の給与実態となるのだ。

<2004年7~8月に日刊ゲンダイに連載した「亡国!税金のムダ遣い」より>
by kabashima_h | 2004-10-01 23:27 | 民主主義のコスト