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by kabashima_h

亡国!税金のムダ遣い(6)

●議員送迎用の国会バスはいつもガラガラ●

「○○センセイ、○○センセイ」。国会議事堂の裏手に3棟並んで建つ議員会館の前を通ると、議員の名前を連呼する女性の声がスピーカーから流れてくる。国会開会中ともなると、ひときわ大きな音で頻繁に繰り返されることになるこの連呼は、駐車場で待つ黒塗り公用車の運転手への合図である。「○○議員が玄関口から出て行くので、直ぐ車寄せへ」というわけだ。

 常任委員長など国会から専用の公用車を割り当てられている議員は、階上の部屋から降りてくると、1階のインフォメーション室に「呼び出し」を頼む。公用車の運転手は国家公務員だから、かりに議員を玄関口で待たせてしまっても、私設秘書のように怒鳴られはしない。それでも、運転手たちはすぐに発車できるように車の側で仲間とお喋りしたり、新聞や雑誌を読んで時間を潰すのが普通だ。そうしている間の給料も、もちろん税金でまかなわれる。

 かつて衆参両院に合わせて約280台あった公用車を10年以内に半減する方針が01年に決まった。いまは衆議院130台(トラック、マイクロバス、ワンボックスカーを含む)、参議院109台(同)の計239台となったが、半減までにはまだ遠い。車以上に削減が容易でないのは運転手のほうだ。衆院に132人、参院に96人いる運転手は全員が国家公務員なので、民間企業のように簡単にリストラすることはできない。

 仕事の効率が悪いのは黒塗り公用車だけではない。衆院、参院とも専用マイクロバスで議員宿舎と議員会館の間の送迎をしている。朝に3~5回、夕方に2回ほど往復するのだが、利用する議員は開会中でもせいぜい数人といったところだ。閉会中は1往復に減り、車内はほぼ空っぽになる。これでは、「仕事をしています」というアリバイづくりのために走らせているとしか思えない。

 必要性の疑わしい国会の税金ムダ遣いはまだある。福利厚生施設「国会健康センター」とそこで働くフルタイムの専属トレーナーだ。最新のエアロバイクやウェイトトレーニング・マシンが設置され、議員1人ひとりのトレーニング・メニューまで作ってくれる。ところが、施設はたいていガランとしている。

 都心には民間のスポーツクラブがたくさんあるのだから、心身をリフレッシュしたい議員は、消費拡大のためにもそちらを利用すべきだろう。

<2004年7~8月に日刊ゲンダイに連載した「亡国!税金のムダ遣い」より>
『「税金ムダ喰い」のカラクリ』(光文社刊)
by kabashima_h | 2004-09-23 22:48 | 民主主義のコスト