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by kabashima_h

カテゴリ:民主主義のコスト( 20 )

●知事や政令市長の給与、カットされても「高値安定」●

 全国の首長は受難の季節を迎えている。「三位一体」改革によって国から入る金が減る中で、財政悪化、事業の失敗、職員の不祥事、さらに有権者受けを狙った選挙公約など、給料を減らす理由が目白押しだ。最近の減額では、青森県の木村守男前知事が財政再建のための1割カットに加え、「アニータ事件」として有名になった県住宅供給公社の巨額横領事件で5割カットしたのが最大だろう。それでも年収は820万円だったから、そもそも普通の給与生活者とはレベルが違う。

 03年度1年間の知事としての年収(給与と期末手当の合計。寒冷地・通勤手当など除く)を毎日新聞社が試算したところ、47都道府県の平均は2100万6000円だった。都道府県間の格差は大きく、最高の愛知県(2612万円)と最低の長野県(1739万円)との差はじつに900万円近い。最下位になった長野県は財政再建のため03年4~12月の給与を3割カットし、続いて04年1~3月には「官製談合」の責任を取って4割カット。条例が定めた額より500万円以上少なかった。

 だが、同情するのはちょっと早い。知事の収入は多様だ。長野県の田中康夫知事の場合、原稿料や出演・講演料などの事業所得がプラスされることがある。東京都の石原慎太郎知事のように億単位とはいかないが、01年には668万円の収入があった。他の知事だって、外郭団体の役員報酬や個人的な収入(持ち株の配当金、不動産の賃貸収入など)があり、知事としての収入だけで生活しているのは少数派である。

 そしてあまり知られていないが、政令指定市の市長も毎月の給料が平均134万円という高給取りである。昨年4月、その仲間入りしたさいたま市では、この6月にさっそく相川宗一市長の給料を格差是正の名目で16万4000円増の131万円にした。期末手当を含めた年収は2408万円。先ほどの知事の試算と比べると、愛知、東京、兵庫に次ぐ超高額となる。

 市長は批判を避けるため来年3月までの減額措置を同時に決めたので、当面は3万3000円しか増えないが、来年4月以降は満額アップだ。その結果、5月の任期満了時にもらう退職金は3773万円(1022万円増)となる。監視役である市議会はこの「横並び」による支出増を食い止めなかったばかりか、自分たちの報酬も22万9000円引き上げて85万円にした。国破れて、税金ムダ喰いの亡国議員・公務員ばかりがはびこっている。

<2004年7~8月に日刊ゲンダイに連載した「亡国!税金のムダ遣い」より>
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by kabashima_h | 2004-10-26 23:41 | 民主主義のコスト
●公営選挙を悪用してポスター代「詐取」●

 選挙に出るには、まず供託金がいる。国政選挙なら候補者1人につき600万円(参議院比例区)か300万円(衆議院小選挙区、参議院選挙区)とかなり高額だが、地方の議員選挙なら都道府県議で60万円、市議で30万円(政令指定市は50万円)となる。しかも、国政選挙ほど手厚くないものの、選挙カーのレンタル料金やガソリン代、掲示板に張るポスター代などを公費で負担してくれる自治体は多い。

 もともと、法定枚数内の選挙ハガキはすべての選挙で公費負担されるので、マンパワーをボランティアでまかなえるのなら、それほど自腹を切らずに選挙戦を乗り切ることができる。こうした「公営選挙」によって「選挙に出やすい」環境を整え、有為の人材を発掘しようというわけだ。政党に属さない無党派・市民派の候補者には本当にありがたい制度だが、こんなところにも公金という甘い蜜を吸い取ろうとする不逞の輩が現れるのである。

 実際、この制度をないがしろにするような事件が栃木県栃木市で発覚した。99年の統一地方選挙でのことである。市議選後、定数(28)のほぼ3分の2に当たる議員がポスター作成費として公費負担の上限(42万8000円)いっぱいの金額か、それに近い額を請求したが、これが不正な水増し請求だったのだ。

 手口はこうだ。まず議員が公費負担の上限額で印刷業者にポスターを発注する。ふつうなら20万円程度で済むところを、「企画料」といったあやふやな名目の料金を上乗せするのがミソで、実際にはポスター以外にも名刺や後援会の案内などを刷っていたという。そして、限度額かそれに近い料金を業者が市役所へ請求し、市側も請求書のチェックだけで満額を支払ったというわけだ。予算内ならとりあえずOKという、いかにもお役所然とした対応だったのである。

 結局、栃木市議会は公費負担の上限を、インク代や紙代といった印刷代のみの12万6504円に引き下げる条例改正を議員提案で行った。約30万円まで認められていた「企画料」をバッサリ削ったのである。

 栃木市の場合は市民派議員の内部告発的な監査請求によって不正が明らかになったが、程度の差こそあれ、選挙費用の不正請求はどこの自治体でもあるという。こういう議員が税金の使い道をチェックしているのだから、財政赤字に苦しむ自治体が増えて当然である。

<2004年7~8月に日刊ゲンダイに連載した「亡国!税金のムダ遣い」より>
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by kabashima_h | 2004-10-24 23:40 | 民主主義のコスト
●名古屋市議は議会へ行くと1日1万円の旅費がもらえる●

 6000円で東京からどこまで行けるか。JRの在来線なら名古屋の少し手前まで、新幹線利用でも三島までなら楽勝だ。自動車で高速道路を飛ばせば、ガソリン代込みでも福島、新潟、静岡各県へ着ける。ところが、同じ額の交通費を東京都の練馬、板橋、杉並、世田谷、港、品川、大田、江戸川の区議は、区議会へ行くたびに「日額旅費」という名目でもらっているのだ。

 そもそも交通機関がもっとも充実した都心部であり、登庁といっても同じ区の中での移動だ。タクシーに乗ったところで料金はたかがしれているし、議員によっては自宅から議場まで自転車で行ける者もいるだろう。それでも、一律に1日6000円の定額が、本会議、委員会、公聴会など、とにかく招集を受けて出席すれば、その日数分支払われる。

 他の区議会でも5000円(千代田、中央、江東、墨田、台東、足立、北、豊島、渋谷、目黒)、4000円(文京)、3000円(中野、荒川、葛飾)、2500円(新宿)となっており、23区が区議の日額旅費として使った総額は02年度だけで2億7180万円にのぼった。総務省は「交通費や昼食代など、移動にかかる経費の実費相当分」との見解だが、実態は高額の「お車代」である。通勤定期代の実費支給が当たり前のサラリーマンには信じられない話だ。

 だが、6000円で驚いてはいけない。名古屋市議会では1年半前まで、政令指定都市でもトップクラスの1万5000円を市議に払っていたのだ。しかし、支給を定めた条例に金額が明示されていなかった点を名古屋市民オンブズマンから批判され、市議会選挙を目前にした03年2月に、過去にさかのぼって金額を特定するという「掟破り」の条例改正をへて1万円へ引き下げた。まさにドロナワを絵に描いたような茶番劇だが、それでも1万円という高値どまりだから、市議は笑いが止まらない。

 財政の苦しい地方の市町村では、車の走行距離に応じてガソリン代を支給したり、日額旅費そのものを廃止しているというのに、高額の「旅費」を受け取っている地方議員からは「家族がいるからなくなると困る」「知られていない唯一の小遣い」といった本音が漏れてくる。最近は、議員の質問回数や議場での態度などをチェックして採点する市民団体が増えてきたが、出席してすぐ退席する議員は「日額旅費稼ぎ」が目的かもしれないので要注意だ。

<2004年7~8月に日刊ゲンダイに連載した「亡国!税金のムダ遣い」より>
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by kabashima_h | 2004-10-18 22:48 | 民主主義のコスト
●視察報告書づくりまで旅行代理店任せ●

 全国の都道府県議の中で、いま埼玉県議が一番肩身の狭い思いをしていることだろう。昨年の暮れ、「埼玉県議会産業・防災アジア行政視察団」メンバー6人のタイ・バンコクにおける夜の行状がテレビ番組で暴露され、「夜遊び県議」として一躍有名になったからだ。番組放送後、県庁には「辞職しろ」との電話が殺到したが、議員たちは「やましいことはしていない」と弁明し、今もバッジを付け続けている。

 公式日程後のプライベートな時間帯とはいえ、この埼玉県議たちの行動は公人として恥ずべきである。だが、もっと恥ずかしいのは、多くの地方議会が地元固有の課題とは無関係な、パック旅行さながらの海外視察を平然と繰り返していることだ。

 全国都道府県議会議長会では春と秋の年2回、47都道府県議会に参加を呼びかけて海外視察を実施している。大手の旅行業者6社でコンペ・入札を行っているが、「お手盛りの観光旅行」と批判されることの多い視察の中でも、とりわけ非難を集めている。全国市民オンブズマン連絡会議の調査によると、議長会が主催した02年度春季欧州地方行政事情視察団(B班)には、秋田、新潟、富山、岡山、香川、徳島、佐賀など11県から28議員が参加し、イギリス、ベルギー、オランダを13日間の日程で訪問した。

 この視察は東京・赤坂に支店のある旅行業者が請け負ったが、その見積書によると、費用は1人当たり約90万円。参加した県議は帰国後に見聞の成果を報告書として提出することになっているが、その見積書には「報告書代3900円」という項目まであった。議員として最低限の義務である報告書さえ、業者任せというお気楽さだ。しかも、この低料金では、報告の中身も全議員同一だったに違いない。

 もっとも、その旅行業者もプロだ。同じような訪問国でも、きちんと目的を分けたコースに仕立てている。たとえば、同じデンマークでも、高齢者ケア、道路行政、産業共生、行政サービス、田園空間整備、広域連携とテーマを変幻自在に変えている。要するに、とにかく「行く」ことが目的で、視察の内容は二の次ということだ。

 そのコース案内の公共施設視察の部分には、「バッキンガム宮殿(衛兵交替は毎日ではありません)」との注意書きまである。きっと、「衛兵が動かんじゃないか!」と観光気分丸出しで怒り出す議員がいるのだろう。なにしに行ってるのか、怒りたいのは納税者のほうである。

<2004年7~8月に日刊ゲンダイに連載した「亡国!税金のムダ遣い」より>
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by kabashima_h | 2004-10-17 22:36 | 民主主義のコスト
●国会終われば、与野党国対委員長は恒例の海外視察●

 臨時国会が8月6日に閉会し、焦点だった年金制度改革関連法廃止法案は与党の反対であっさり廃案となった。「廃止が民意」と法案の徹底審議を求めた民主党は振り上げた拳の降ろしどころが見つからず、さぞ困っているだろうと思ったら、国会の舞台回しを指揮する現場責任者の国対委員長は、自民、公明両党の国対委員長らとともに22日から10日間の日程でイタリアとトルコへ海外視察に出かけるという。なんのことはない、表では会期幅をめぐってつばぜり合いを演じておきながら、裏では「お手々つないで」旅行を楽しむのだ。

 しかも、この一行の視察目的は「憲法改正手続き及び政治経済実情調査」。両国で憲法改正の動きでもあるのかと衆院事務局に尋ねると、「訪問国は国対委員長同士の話し合いで決まった。こちらでは、イタリアは以前からEU(欧州連合)に入っていて、トルコは最近加盟したということぐらいしか知らない」(国際部総務課)との頼りない答えが返ってきた。全額公費で派遣するわりには、視察目的や訪問先などはすべて議員任せということらしい。

 毎年夏は国会議員の海外視察ラッシュだ。昨年は衆院の解散・総選挙や自民党総裁選が控えていたため少なめだった分、今年は多い。7月から9月の公式派遣議員数(予定含む)は衆院が92人、参院が58人の計150人にのぼる。費用のほうは今年度中に計144人を派遣する衆院が約3億2000万円、計90人の参院が約1億9000万円を当初予算で確保済み。どちらも随行職員の経費を含めた金額だが、議員1人当たりの平均額は200万円以上である。

 要は、費用対効果だ。カネをかけただけの成果があればよし。なければ、高い税金を使った物見遊山でしかない。それを判断するのは国民である。ところが、参院では日程や報告書が議院運営委員会の議事録に記載されるからインターネットで誰でも見られるが、衆院は報告書を議長に提出するだけで議事録へ掲載していない。こんなことまで隠すようでは、「やっぱり観光旅行」と思われても仕方なかろう。

 冒頭の与野党国対委員長による海外視察について、民主党の若手議員からさえ批判の声が聞かれる。だが、同党の国対委員長は「恒例の視察であり、今年だけ批判されることはない」と記者会見(3日)で言ってのけた。民主党が政権を取ったあかつきには、政官の既得権益にメスを入れてくれると期待していた国民は、さぞ鼻白んでいることだろう。

<2004年7~8月に日刊ゲンダイに連載した「亡国!税金のムダ遣い」より>
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by kabashima_h | 2004-10-14 22:19 | 民主主義のコスト
●国会議員は「週4日」勤務で年収4093万円●

「金帰火来(きんきからい)」という言葉がある。国会議員、とくに衆議院議員は金曜の夜に選挙区へ帰り、翌週火曜の本会議や委員会に間に合うよう上京するという意味だ。永田町界隈で通じる業界用語である。政治家は当選した日から次の選挙を考えてその対策に余念がないが、あくまでも国民の意識は「国会で仕事してなんぼ」だ。

 そんな実働週4日の国会議員に対して、1年間に現金支給される公金は計4093万円にものぼる。サラリーマンの月給にあたる歳費(計1485万円)、ボーナスにあたる期末手当(3、6、12月の3回で計628万円)、それに文書通信交通滞在費(計1200万円=非課税)と立法事務費(所属会派へ計780万円)だ。

 この中の文書通信交通滞在費が曲者なのである。もとはただの「通信費」だったが、増額を繰り返すたびに名前が長くなってきた。月額100万円は文書通信費に50万円、交通滞在費に50万円がめどとなっているが、そのとおりに使う議員はまずいない。

「いわゆる『渡しきり費』なので、報告義務もなければ、余った分の返還義務もない。歳費と一緒にドンブリ勘定で指定口座に支払われるので、受け取った議員のほうも第2歳費といった意識だ」と野党の中堅秘書は打ち明ける。とくに若手議員には、このドンブリの中から私設秘書の人件費や選挙区の事務所家賃などを捻出している者が多い。

 現金支給でない特典もたくさん用意されている。まず、「金帰火来」をサポートするためなのか、グリーン車にも乗れるJR乗車証(パス)。北海道や九州・沖縄の議員は、このパスの代わりに航空券を選択できるというから芸が細かい。東京へ戻ったら、黒塗りの公用車が待っている。衆参両院の委員長だけでなく、政党(会派)へも割り当てられているから、党幹部はもちろん、当選1回の議員も予約すれば使える。

 議員会館の事務所には電話が外線2回線、内線1回線引かれている。国会関連施設はもちろん、23区内への市内通話は無料で、自己負担となるのは市外への通話料金だけ。おまけに、国会内LANにつながったパソコンが議員1人につき2台支給されるので、インターネットが常時接続で使い放題となっている。

 さらに議員会館事務所と議員宿舎の経費、公設秘書3人の給与などを加えれば、国会議員1人にかかるコストは年間1億円を下るまい。言うまでもなく、それに見合うだけの働きをしている議員は少ない。

<2004年7~8月に日刊ゲンダイに連載した「亡国!税金のムダ遣い」より>
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by kabashima_h | 2004-10-13 22:49 | 民主主義のコスト
●納税者にもたれかかる特別区職員互助組合●

 プロ野球の松井秀喜選手が大リーグへ移り、阪神タイガースが優勝した03年を最後に、東京都大田区は「職員の福利厚生」を目的に7年間確保し続けてきた東京ドームの巨人戦シーズンシートの購入をやめた。巨人軍人気に陰りが見え始めたせいではない。週刊誌に批判記事が載ったからだ。おかげで、16席分の約545万円が04年度予算から消えたが、こんなのは氷山の一角、いや、モグラ叩きだ。批判記事で叩かれると引っ込めるが、また形を変えて別の穴から出てくるに違いない。

 一般には知られていないが、東京都23区の職員は「特別区職員互助組合」によって、暮らしをしっかりとサポートされている。生計資金貸付事業、進学資金貸付事業、住宅増改修資金貸付など低利での融資から災害見舞金や慶弔見舞金まで、その特典はまさに「ゆりかごから墓場まで」続いていく。

 結婚すれば、まず3万円の補助金だ。子どもができて家族旅行へ出かければ、宿泊補助金が本人はもちろん、子どもにまで支給される。1人当たり5000円(子ども半額)。日帰りでプールやスケート、スキーを楽しんだって、その施設利用料の半額がもらえる。

 43歳と53歳になると、「心身のリフレッシュに資するため」に5万円と6万円相当の旅行券または図書カードだ。奉職してからちょうど20、30年が経ち、課長、部長になるころである。そして退職時には、退職助成金として「3万円相当の商品券」を受け取り、さらに本人か家族に不測の事態が起きたときには、「ホームヘルパー助成金(1日7000円)」が支給される。老後の「危機管理」まで万全なのだ。

 さらにショッピングでの割り引きなど、福利厚生という言葉から連想できるあらゆるものを網羅したようなサービスぶりだが、まだまだこれで驚いてはいけない。ほとんどの23区職員はこの特別区職員互助組合のほかにも、東京都職員共済組合、各区の職員組合にも加入していて、同じような特典をダブル、トリプル受給しているのだ。

 おそらく、職員は「だって高い掛け金を払っているんだから」と弁解するだろうが、じつはこの特別区職員互助組合にも税金が投入されている。02年度の場合、職員から集めた組合費が約7億円なのに対して、23区からの交付金は22億円だ。なんのことはない、「互助」組合とは名ばかりで、ちゃっかり納税者にもたれかかって「快適!公務員ライフ」を満喫しているのである。

<2004年7~8月に日刊ゲンダイに連載した「亡国!税金のムダ遣い」より>
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by kabashima_h | 2004-10-09 23:56 | 民主主義のコスト
●3セク経営ゴルフ場で市長が無料プレー三昧●

 ゴルフといえば〝紳士のスポーツ〟だが、なかにはとんでもないマナー違反をする御仁もいる。03年春まで現職だった大分県別府市の市長だ。市長特権でプレー代をタダにしていたというから驚くばかりだ。

 無料プレーが発覚したのは02年の暮れだった。本来はメンバーの平日・土曜日プレーでも、5740~8360円かかる(04年4月の料金)。ところが、この市長はたった900円のゴルフ場利用税を払っただけでゴルフに興じていた。しかも、プレーの回数は3年間で39回にものぼっていたのである。

 市長がこんなに堂々と無料プレーできたのにはわけがあった。このゴルフ場は別府市内にある別府国際ゴルフ倶楽部で、第3セクターの(株)別府扇山ゴルフ場が経営しているが、同社の資本金1億円のうち5100万円は別府市の出資だ。つまり、市は資本金の51%を出資する大株主で、市長は会長というわけ。

 このゴルフ場では2000年に766万円の使途不明金が見つかり、会長兼社長だった市長は責任を取って社長職を辞任したが、会長職は残った。そこで、「経営者がプレー代を支払うところなどない」と、無料プレーを繰り返していたのである。

 だが、ゴルフ場は近年の不況に伴う利用者減によって8500万円もの累積赤字をすでに抱えていた。民間企業ならば経営責任を問われかねないところである。黒字になるまでは、収入アップのために会長といえども一市民としてプレー代を払うのが経営者としてのモラルというものだろう。ところが、この市長はそんな気はさらさらなく、市議会で追及されると「要人接待や視察も兼ねて経営改善の努力をしているのに、悪意に満ちた質問で心外だ」と逆ギレするあり様だった。

 公人としての倫理観の欠如は、やがて汚職事件へとつながっていくものだ。別府市で問題が起きていた02年度中に、全国の自治体や公社などで発覚した汚職事件は147件にのぼった。事件の当事者となった163人の内訳は、横領89人、収賄55人、詐欺9人、公文書偽造3人などとなっている。別府市の「事件」は小さかったが、そこから読み取れる教訓は大きい。

 ちなみに、この別府市長はその後、ゴルフ場会社の臨時役員会で他の役員から批判されて会長を辞任。そして、翌03年春の市長選に3選を目指して立候補したが、大差で落選している。当然である。

<2004年7~8月に日刊ゲンダイに連載した「亡国!税金のムダ遣い」より>
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by kabashima_h | 2004-10-07 22:45 | 民主主義のコスト
●9億円使っても領収書なし、報告書はA4たった1枚●

 火山活動のため避難生活を送っていた三宅島の島民が来年2月から帰島できることになった。その三宅島のすぐ南にある御蔵島村の年間予算規模は約10億円だが、それとほぼ同額の東京都の公金が使途も明らかにされないまま決済されている。

 この公金とは、都議に支給される政務調査費で、02年度の総額は9億660万円だった。政務調査費とは、地方議員が政策などに関する調査・研究をするための費用で、47都道府県のすべて、市・区のほぼ9割、町村の2割弱で議員個人や会派に支給している。もちろん、議員報酬とは別にだ。

 ところが、議員1人当たり年間720万円という全国最高額を支給している都議会では、9つの会派(うち1人会派は4つ)ごとにA4版1枚の収支報告書を提出するだけで「決算終了」となる。たとえば、自民党の02年度分の収支報告書からは、議員55人分として3億9600万円の収入があり、このうち資料購入費に1137万8393円を使ったことまでは分かるが、どんな本を買ったのかは一切不明だ。かりに1冊1500円とすると、7585冊となり、議員1人当たりでは137冊にもなるから驚きだ。

 都道府県議員1人当たりの年間支給額(会派・個人の合計)は、東京都の720万円から鳥取、徳島、沖縄県の300万円まで幅があるが、条例などの定める使途は調査費、研修費、会議費、資料購入費、広報費、事務費、人件費などと、いずれも大まか。しかも、領収書の添付を義務づけているのは岩手、宮城、長野など、ごく一部だ。

 そのため、ある秋田県議は、「色々な論調を知るには地上波のニュースだけでなく、CNNなどの海外ニュースや衛星放送番組を見る必要がある」と屁理屈をこね、33万円のBSチューナー付きの大型テレビを購入した。長野県では、家族を事務員にして人件費を支払ったほか、宴席の支払いに流用した疑惑が持たれている。実際、今年1月には、東京都品川区の自民党区議団がカラオケ・バーなどでの支払いを認めて約31万円を区に返還した。行政の監視役とは思えないムチャクチャな使途が、報道機関や市民オンブズマン、監査によって次々と発覚しているのである。

 政務調査費は長いこと、首長からの補助金だった。議会を手なずける小遣いのようなものだ。「第2報酬」と批判され、01年度から条例化されたが、議員のほうはいまだに小遣い感覚なのだろう。

<2004年7~8月に日刊ゲンダイに連載した「亡国!税金のムダ遣い」より>
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by kabashima_h | 2004-10-04 01:36 | 民主主義のコスト
●児童相談、生活保護家庭の訪問でも特殊勤務手当●

 外回りの営業マンなら、アポなしの「飛び込みセールス」は日常茶飯だ。銀行員だって、融資金の回収のために企業をせっせと回っている。都道府県や市町村も、滞納されている住民税をさぞ必死になって取り立てているにちがいない。なにせ、小泉首相の「三位一体改革」で国から来る金が減り、「このままでは自治体倒産だ」という悲鳴があちこちから聞こえてくるのだから……。

 たしかに、自治体職員が滞納先を訪問したり、役所の窓口で納税者の相手をすることは少なくないのだが、お役人なら当たり前のこうした業務にも特別なお手当が支給される。「税事務従事手当」という特殊勤務手当の一種で、宮城県では総務部や県税事務所の職員が1カ月の勤務のうち3分の2以上、滞納整理を含めた「県税の賦課徴収に関する業務」をすると、若い主事で月額1万4000円、課長補佐クラスで2万3000円もらえる。

 特殊勤務手当というのは、著しく危険、不快、不健康、困難、特殊な勤務に支給される手当のことで、別名「不快手当」とも言う。たしかに、訪問した税金滞納先では嫌味ぐらいは言われるだろうが、それも仕事のうちというのがビジネスの常識だ。改革派のリーダー的存在である浅野史郎氏が知事を務める宮城県でさえ、44種類もの業務を条例で定めており、「本当は住民と接するのが嫌なのでは」と勘ぐりたくなるような内容のものがが多い。

 たとえば社会福祉業務手当は、保健福祉事務所の職員が要生活保護者らの家庭を訪問すると月額1万2000円、子どもセンターの職員が児童相談を受けると9000円だ。宮城県は警察官に対してもずいぶん手厚い。刑事手当、少年警察補導手当、鑑識手当、交通取締手当、警ら手当、看守手当など、どこの部署にいても月額6500~1万300円の手当がもらえるのだ。なかには、身辺警護等作業(皇族護衛)手当のように、普通は1日640円だが、天皇、皇后、皇太子、皇太子妃のときは510円増しになる変則的な「料金システム」もある。

 地方公務員が毎月受け取る手当は、他にも扶養、住居、管理職、単身赴任といった民間でも馴染みのものから、調整、初任給調整、へき地、特地勤務、管理職員特別勤務など、おそらく受け取っている本人さえ説明できないものまでたくさんある。こうして年収は膨れ上がり、「官高民低」の給与実態となるのだ。

<2004年7~8月に日刊ゲンダイに連載した「亡国!税金のムダ遣い」より>
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by kabashima_h | 2004-10-01 23:27 | 民主主義のコスト