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by kabashima_h

カテゴリ:山梨県( 1 )

南アルプス市からの便り

 朝日新聞の I 記者から絵葉書が届きました。北海道から山梨県の南アルプス市へ赴任したという挨拶です。北海道報道部時代は道東の自然に親しむアウトドア派として知られ、毎年送ってくれる年賀状には知床の大自然や動物たちの姿が生き生きと映し出されていたものです。今回の挨拶状は、雪化粧した南アルプス・北岳を遠景に置き、手前の紅葉した森とのコントラストが実に美しく表現されています。

 彼との出会いは山形でした。毎日と朝日と新聞社こそ違え、ともに1981年入社の同期。山形支局での駆け出しのころは、先輩記者に叱られながら一緒に警察や検察庁、裁判所などを回ったものでした。彼との付き合いで一番思い出深いのは、山形市の中心部から20キロほど北にあるK町で起きた町長の汚職事件です。

 山形県というところは、殺人や強盗のような凶悪犯罪は滅多にないのですが、県警の捜査2課が優秀だったこともあって、汚職事件の摘発が毎年続きました。ある日、夜回り先でK町の「Xデー」は明日と聞き込んだ私は、翌日、まだ暗いうちから車を飛ばして町長宅前で張り込み、捜査員が町長に任意同行を求めるところを望遠レンズで押さえることに成功。ところが間抜けなことに、入札で便宜を図ったとされる肝心の工事名が特定できていなかったのです。

 フライデーには成功したものの、肝心の事件の概要が分からないのでは仕方ありません。逮捕令状を執行する前に警察が被疑事実を教えることはないのですが、それでも念のためと立ち寄った所轄署で I 記者にばったり出くわしました。ふだんは仲良くしていても、こういうときは互いにどういう情報を掴んでいるか腹の探り合いです。勘の鋭い彼は、任意同行の現場写真を撮られたことに気づいたらしく、苦笑いを浮かべると、「じゃあ、体育館の写真を撮って帰ろうか」と言いいます。「ああ、そうだね」。私はそう答えながら、心の中では<そうか、体育館だったんだ!>とガッツポーズです。人のいい彼は、自分の車で先導して町立体育館まで連れて行ってくれました。

 結局、東北の小さな町で起きた汚職事件では本紙の夕刊に載せてもらえず、各紙とも翌日の県版扱いとなりましたが、町長の任意同行写真は毎日だけ。県警の捜査2課長からは「ネタ元は誰だ」と脅されるなど、ちょっと鼻高々でしたが、得意の日々はすぐに終わりました。現地に通信局の記者がいる朝日新聞が、支局記者の教育のために本社から派遣されている元社会部記者の指揮の下、談合問題を掘り下げる重厚な企画記事を連発してきたのです。もちろん、 I 記者も書き手の1人です。もともと記者が他社より少ない毎日新聞は日増しに圧倒され、1カ月も経ったころには私も青息吐息の悲惨な状態になっていました。

 その I 記者が着任した支局がある南アルプス市では、マンモス議会と批判を浴びて解散した市議会の「出直し」選挙が21日に告示されます。故・金丸信元自民党副総裁のお膝元だっただけに、政治土壌が古いのか、旧町村時代には首長汚職が連鎖的に摘発されたことでも知られています。その新任地でI記者がこれからどんな記事を書いてくれるのか、とても楽しみです。

メールマガジン「チホウ政治じゃーなる」vol.302の「発行人より」から
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by kabashima_h | 2004-11-15 13:09 | 山梨県