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by kabashima_h

亡国!税金のムダ遣い(18)

●公営選挙を悪用してポスター代「詐取」●

 選挙に出るには、まず供託金がいる。国政選挙なら候補者1人につき600万円(参議院比例区)か300万円(衆議院小選挙区、参議院選挙区)とかなり高額だが、地方の議員選挙なら都道府県議で60万円、市議で30万円(政令指定市は50万円)となる。しかも、国政選挙ほど手厚くないものの、選挙カーのレンタル料金やガソリン代、掲示板に張るポスター代などを公費で負担してくれる自治体は多い。

 もともと、法定枚数内の選挙ハガキはすべての選挙で公費負担されるので、マンパワーをボランティアでまかなえるのなら、それほど自腹を切らずに選挙戦を乗り切ることができる。こうした「公営選挙」によって「選挙に出やすい」環境を整え、有為の人材を発掘しようというわけだ。政党に属さない無党派・市民派の候補者には本当にありがたい制度だが、こんなところにも公金という甘い蜜を吸い取ろうとする不逞の輩が現れるのである。

 実際、この制度をないがしろにするような事件が栃木県栃木市で発覚した。99年の統一地方選挙でのことである。市議選後、定数(28)のほぼ3分の2に当たる議員がポスター作成費として公費負担の上限(42万8000円)いっぱいの金額か、それに近い額を請求したが、これが不正な水増し請求だったのだ。

 手口はこうだ。まず議員が公費負担の上限額で印刷業者にポスターを発注する。ふつうなら20万円程度で済むところを、「企画料」といったあやふやな名目の料金を上乗せするのがミソで、実際にはポスター以外にも名刺や後援会の案内などを刷っていたという。そして、限度額かそれに近い料金を業者が市役所へ請求し、市側も請求書のチェックだけで満額を支払ったというわけだ。予算内ならとりあえずOKという、いかにもお役所然とした対応だったのである。

 結局、栃木市議会は公費負担の上限を、インク代や紙代といった印刷代のみの12万6504円に引き下げる条例改正を議員提案で行った。約30万円まで認められていた「企画料」をバッサリ削ったのである。

 栃木市の場合は市民派議員の内部告発的な監査請求によって不正が明らかになったが、程度の差こそあれ、選挙費用の不正請求はどこの自治体でもあるという。こういう議員が税金の使い道をチェックしているのだから、財政赤字に苦しむ自治体が増えて当然である。

<2004年7~8月に日刊ゲンダイに連載した「亡国!税金のムダ遣い」より>
by kabashima_h | 2004-10-24 23:40 | 民主主義のコスト