人気ブログランキング | 話題のタグを見る

人気メルマガ「チホウ政治じゃーなる」のブログ版


by kabashima_h

亡国!税金のムダ遣い(17)

●名古屋市議は議会へ行くと1日1万円の旅費がもらえる●

 6000円で東京からどこまで行けるか。JRの在来線なら名古屋の少し手前まで、新幹線利用でも三島までなら楽勝だ。自動車で高速道路を飛ばせば、ガソリン代込みでも福島、新潟、静岡各県へ着ける。ところが、同じ額の交通費を東京都の練馬、板橋、杉並、世田谷、港、品川、大田、江戸川の区議は、区議会へ行くたびに「日額旅費」という名目でもらっているのだ。

 そもそも交通機関がもっとも充実した都心部であり、登庁といっても同じ区の中での移動だ。タクシーに乗ったところで料金はたかがしれているし、議員によっては自宅から議場まで自転車で行ける者もいるだろう。それでも、一律に1日6000円の定額が、本会議、委員会、公聴会など、とにかく招集を受けて出席すれば、その日数分支払われる。

 他の区議会でも5000円(千代田、中央、江東、墨田、台東、足立、北、豊島、渋谷、目黒)、4000円(文京)、3000円(中野、荒川、葛飾)、2500円(新宿)となっており、23区が区議の日額旅費として使った総額は02年度だけで2億7180万円にのぼった。総務省は「交通費や昼食代など、移動にかかる経費の実費相当分」との見解だが、実態は高額の「お車代」である。通勤定期代の実費支給が当たり前のサラリーマンには信じられない話だ。

 だが、6000円で驚いてはいけない。名古屋市議会では1年半前まで、政令指定都市でもトップクラスの1万5000円を市議に払っていたのだ。しかし、支給を定めた条例に金額が明示されていなかった点を名古屋市民オンブズマンから批判され、市議会選挙を目前にした03年2月に、過去にさかのぼって金額を特定するという「掟破り」の条例改正をへて1万円へ引き下げた。まさにドロナワを絵に描いたような茶番劇だが、それでも1万円という高値どまりだから、市議は笑いが止まらない。

 財政の苦しい地方の市町村では、車の走行距離に応じてガソリン代を支給したり、日額旅費そのものを廃止しているというのに、高額の「旅費」を受け取っている地方議員からは「家族がいるからなくなると困る」「知られていない唯一の小遣い」といった本音が漏れてくる。最近は、議員の質問回数や議場での態度などをチェックして採点する市民団体が増えてきたが、出席してすぐ退席する議員は「日額旅費稼ぎ」が目的かもしれないので要注意だ。

<2004年7~8月に日刊ゲンダイに連載した「亡国!税金のムダ遣い」より>
by kabashima_h | 2004-10-18 22:48 | 民主主義のコスト